音威子府村議会を、はじめての人へ
「森と匠の村」を掲げる北海道最小の自治体・音威子府村。定数6・現員5・全員無所属の議会が、約30億円の村予算をふくむ議案を年4回の定例会で扱う—— その実像を、村の成り立ちから議員一人ひとり、課題までデータと言葉の両面でまとめました。
議会だより第69〜73号(令和7年6月〜令和8年4月)を1議案ずつ集計し、Codex(OpenAI)による独立再検証でも否決0・修正0を確認しています。
音威子府村は、北海道のほぼ中央北部・天塩川の上流に位置する、人口約580人の村。 北海道で最も人口が少なく、面積の約8割を森林が占める「森と匠の村」です。村内には全国から生徒が集まるおといねっぷ美術工芸高等学校があり、 その生徒(約114名・全員が村外出身で住民票を村に移す)だけで人口の約2割を占めるという、ほかにない人口構造を持ちます。
国勢調査による人口推移(1970〜2020年)+現在値・将来推計。1970年のピーク2,839人から、2020年は706人、現在は約580人。2060年には235人になるとの推計もあります(赤い破線が推計)。
令和8年度の一般会計予算は約30億3,100万円(前年比+15.2%)。村税は歳入の4〜5%にすぎず、地方交付税・国庫支出金・地方債(過疎債など)で8割以上をまかなう。人口一人あたりの予算規模は都市部の数倍にあたります。
※地方債残高は一時30億円を超え、将来負担比率が40.6まで上昇した経緯があり、財政規律ガイドラインで起債管理を厳格化しています。割合は歳入構成のおおまかな目安です。
議会の一番の仕事は、村長が出す議案(条例・予算・決算・人事など)を審議して議決すること。 縦書きの「議会だより」は機械では読めないため、各号を画像化して1議案ずつ人の目で確認し、否決・修正・反対の見落としがないか二重に検証しました。対象は公開中の第69〜73号(令和7年6月〜令和8年4月)です。
小さな村なので、委員会も事務局も最小構成。少人数で約30億円の予算を「全員で一応すべて見る」かたちになっています。
3月・6月・9月・12月。必要に応じて臨時会も開く。1会期は数日(例:令和8年第1回定例会は議案22件を審議し3日間で閉会)。地方議会では年4回が全国標準。
常設は「行政常任委員会」のみで全議員が所属(委員長=藤吉/副委員長=玉田)。分野別の複数委員会を持つ規模ではなく、本会議に近い一体運営。
令和5年12月に設置(委員長=小西副議長)。12回開催し、町村総会・定数・報酬など7項目を審議して令和8年3月に報告(→「議会改革」の章へ)。
議会事務局は役場庁舎2階。事務局次長が監査委員事務局次長を兼ねる。専門スタッフを厚く置けないため、議案の独自修正・対案づくりには構造的な制約がある。
令和8年度 一般会計予算 約30億3,100万円。村税は歳入の4〜5%にすぎず、地方交付税・過疎債への依存度が極めて高い。
本会議の傍聴は自由。年4回「議会だより」を発行。本会議の会議録全文はオンライン非公開で、村役場で閲覧・請求する形。
議会の仕事は、年4回の定例会だけではありません。会期と会期のあいだも、委員会・監査・広域の組合議会・研修・視察・地域行事と、議員の予定は途切れません。直近1年の「議会の動き」から、5人が実際に何をしているかを4つに整理しました。
定例会(年4回)・臨時会に加え、予算審査特別委員会・決算審査特別委員会で当初予算や1年分の決算を集中審査する。会期は数日でも、議案は20件を超えることも。
行政常任委員会、議会改革特別委員会(この1年で12回)。監査委員は毎月「例月出納検査」で村のお金の出入りをチェックしている。
単独では維持できない消防・ごみ・医療を近隣と共同運営する一部事務組合の議会議員も務める ── 上川北部消防事務組合/名寄地区衛生施設事務組合/名寄地区広域生活圏事務組合。
町村議会議員研修会や議長全国大会で学び、国道40号バイパス(音中道路)などを現地視察。卒業式・文化祭・消防出初式に出席し、大学との連携協定や宗谷本線の活性化協議など外との橋渡しもする。
5人で約30億円の予算を見ながら、これだけの広域・地域の役割を兼ねている。一人あたりの守備範囲は、都市部の議員とは比べものにならないほど広いのが、小さな村の議会の実情です。
任期は令和5年5月1日〜令和9年4月30日(2023〜2027)。全員が無所属で、専業の政治家というより、農業や団体職員と兼ねながら村を担う人たちです。 欠員1は定数の6分の1以内のため、法律上は補欠選挙なしで議会は成立しています(顔写真は村公式サイトより)。
議席6番
議席5番
議席3番
議席2番
議席4番議員名簿の職業欄にある「団体職員」とは、会社員(民間企業)でも公務員でもなく、農協(JA北はるか)・森林組合(上川北部)・社会福祉協議会・商工会・各種協会・NPO法人など、各種の団体や組合に雇用される職員の総称です。 音威子府では小西議員と杉山議員がこれにあたり、杉山議員は2019年の選挙では「NPO法人職員」と記載されていました(具体的な勤務先団体は公開情報では特定できませんでした)。 平均年齢は約67歳で、最年少の玉田議員(41歳)と最年長の藤吉議員(80歳)で約40歳の開きがあります。
「全会一致」の手前にある、もうひとつの事実。村議選はこの10年以上、選挙そのものが行われていません。 立候補者の数が定数ちょうど(6人)で、投票せずに全員当選=無投票が続いてきました。
2011年から4回連続で無投票。「名前を書けば(立候補すれば)通る」状態が続く。 全国でも、2019〜2023年に選挙のあった926町村のうち254町村(27.4%)が無投票で、これは音威子府だけの問題ではありません。
議会改革特別委員会(令和5年12月設置・12回開催)が7項目を議論し、令和8年3月の定例会で報告しました。 注目は項目1——「議会をなくして全有権者で決める町村総会」を検討した結果が「見送り」だったことです。
採決はほぼ全会一致でも、議員には日々住民の声が届いています。それが一番はっきり出るのが各定例会の一般質問。 質問のテーマと、それに対する村長・教育長の答弁を、行をタップすると開けるようにまとめました。
「外部人材を活用した、音威子府村の活性化・魅力化について」